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东方香霖堂/第13话/中日对照

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幻想郷に春を告げる桜は、香霖堂から見える風景を白く染めていった。そんな中、霖之助を花見に誘う来客が連日彼のもとを訪れる。見事に咲き誇り続ける桜、その魅力と魔力に浮かされたようにしてーー。
宣告幻想乡进入了春天的樱花,将香霖堂窗外的风景染成了白色的一片。同时,更是连日都有来邀请霖之助去赏花的客人。那盛开着的,争相斗艳的樱花,正在用它的魅力与魔力让人们沉醉于其中——
夏コミ発表予定の新作「東方花映塚 ~ Phantasmagoria of Flower View.」(詳細は、公式サイトにて公開中)の開発がアナウンスされるなど、絶好調の東方シリーズ連載。新しい季節の節目を迎え、今年も幻想郷の住人たちから目が離せない!
随着预定在夏季同人会上发表的新作「东方花映塚 ~ Phantasmagoria of Flower View.」(详细内容正在公式站上公开中)的开发报道,一切顺利的东方系列继续连载。时节正值季节变换之际,今年,居住在幻想乡里的大家也会让众人瞩目!
無々色の桜
无色的樱花
  雪で覆われた幻想郷は、春が近づくにつれ徐々に色を取り戻していた。冬の白色は山の低い部分から消えていく。だがそれと入れ替えるように、山の低い部分から再び白色に染まっていく。春の白色、桜である。
  随着春天的临近,被冰雪覆盖的幻想乡正徐徐地恢复着它的色彩。冬天满山的白色也正慢慢地从山脚下退去,但紧接着,那里又被另一种的白色所渲染。那便是春天的白色,樱花的颜色。
  香霖堂の窓からも桜がよく見える。こんなに景色が良いので、わざわざ外に出て花見をしようと考えるなんて間違っているのだ。花見なんて店の中で十分じゃないか。騒がしいのも好きではないし、いつも会っている者同士で花見をしても嬉しくない。一人で静かに店の中から桜を見る。これ程優雅な、いや幽雅な花見もないじゃないか。花見に出掛ける人間とは、森の中だとか余り景色が良くない家に住んでいる哀れな人間か、妖の桜の魔力に操られてしまっている「目出度い」人間くらいである。
  从香霖堂的窗户向外看去就能看到很多的樱花,既然景色这么地美妙,那么就不用考虑还要特地跑去外面赏樱花了,要赏花的话,呆在店里看不就足够了么?我又不喜欢喧闹的环境,而且要是和平时常见的那些人一起赏花的话我也高兴不起来。一个人静静地在店里看樱花,没有比这更优雅、哦不,是更幽雅的赏花了吧?要说得出门去赏花的人,那不是家住在森林里边,看不到太多好景色的那种悲哀的人,就是被妖怪樱的魔力所操纵的“喜庆(冒傻气)”的人之类的了。
  ーーカランカラン
  ——叮当叮当
「さあ香霖、花見の季節だぜ。神社で毎日」
“来吧香霖,是赏花的季节啦,神社每天都热闹着呢。”
「魔理沙か。帽子に花びらが積もっているよ。払ってから来なさい」
“是魔理沙啊。你帽子上掉的全是花瓣啊,掸干净了再进来。”
「ワザと載っけてきたんだがな」と言うと、魔理沙は外に出て帽子をぱたぱたと振った。
“我可是特地带它们来的啊。”魔理沙说着,就走到外面去把帽子呼嗒呼嗒地甩了又甩。
  魔理沙の家がある魔法の森には桜のような気の利いた植物ではないし、そもそも森は常にまっとうな人間を拒むのだ。魔理沙が桜の花を見て浮かれるのも至極当然である。
  魔理沙的家住在某个魔法森林里面,那里既没有像樱花这样让人欣赏的植物,而且那森林本身就一直在拒绝着正常人类的来访。魔理沙见了樱花就会陶醉也是极其正常的。
「で、行かないのか? 花見」
“那,你不去吗?赏花。”
「花見か……。今日は別の用事があるので遠慮しておくよ」
“赏花啊……今天我还有别的事儿呢,就先免了吧。”
  魔理沙に付いていったら相当騒がしい花見になるだろう。僕は騒がしいのは好きではない。
  要是跟着魔理沙去的话肯定那边会是场热闹的赏花会吧。我不喜欢喧闹的环境。
「いつも暇そうにしている癖に。用事って何だ? 時間が掛かるのか?」
“瞧你平时一直那么闲。你说你有什么事儿啊?要花时间吗?”
「ああ、別の花見があるんだ。静かな花見が」
“啊啊,我另有一场赏花会啊。是安静的赏花会。”
「そう、お通夜みたいな花見でもするんだな」と言うと、魔理沙は出ていった。
“这样啊,你赏花还真跟守灵似的啊。”说着,魔理沙就出去了。
  僕は静かな花見を再開した。一人で店の中から桜を見る花見は、この上ない贅沢を感じさせ、そのまま夜も更けていった。
  我就接着开始我安静的赏花了。在店里一个人就能赏到樱花,这让我感受着无上的奢侈感,夜晚也就这样渐渐地过去了。
  次の日もますます桜が見事になっていた。
  次日,樱花开得更加旺盛了。
  昨日は一人で花見と称してぼうっと見ていただけだったので、今日はもう少し高尚な花見でもしようかと思う。高尚といえば、本を読むことである。
  昨天我声称我在赏花其实也就是在那儿看着发呆而已,那么今天我就来一次稍微高尚点的赏花吧。所谓高尚,就是要读书。
  僕の書庫には幻想郷の本だけではなく外の本も多い。だが、いずれにしても桜を取り扱った本は非常に多いのだ。同じ植物でも達磨草を取り扱った本は皆無に等しいというのに。
  在我的书库里不光只有幻想乡里的书,外面的书也有很多,不过不管是哪里的,和樱花能扯上关系的书可非常之多。同样是植物,却几乎没有一本书和达摩草1扯上关系。
  それだけ、桜というのは日本人にとって特別な花ということだろう。昔から人間も妖怪も桜の色に狂わされる。ある者は桜の下で浮かれ騒ぎ、またある者は死について考え、感傷的になる。すべては遥かな過去を見てきた桜の仕業なのだ。
  对于日本人来讲,樱花就是一种特别到了这个地步的花吧。从很久以前无论人类还是妖怪都会因为樱花的色彩而变得痴狂。有个人曾在樱花树下痴迷癫狂,还有个人考虑到了死而变得伤感起来。这一切都是一直见证了遥远过去的樱花的所为啊。
  ーーカランカランカラン
  ——叮当叮当叮当
「居ますでしょうか?」
“您在店里吧?”
「いらっしゃいませ」この間の半人前少女ーー妖夢のようだ。
“欢迎光临。”好像是之前的那个半人少女——妖梦来了。
「あ、この間はどうもありがとうございました。お陰さまで幽々子様にはちょっと怒られただけですみました」
“啊,上一次真是多谢您了,多亏了您,幽幽子大人也只是稍微惩罚了我一下就放过我了。”
「それは良かったですね」
“那就好啊。”
  ちょっとの度合いがわからないが、あの後、魔里沙に聞いた話だとこの娘は、幻想郷中のはぐれ幽霊を集めさせられたり、まだ見つかっていない死体を探させられたりしたようだ。すると先日のアレはお仕置きの真っ最中だったのだろうか。
  这稍微的程度有多少,我不知道。后来问了魔理沙才知道,据说她丢了东西之后被大小姐强迫去集中分散在幻想乡各处的幽灵,还要寻找尚未被发现的尸体。那么前几天她找到我的那次事件也正是这个惩罚的中间一环吧?
「と言っても僕は商品を売っただけですが……今日も捜し物を買いに?」
“不过话虽这么说,我也只是卖了我的商品而已啊……你今天也是来买你找的东西的?”
「いえ、今日は店の前を通りがかったので、お礼も兼ねて花見に誘おうかと思いまして」
“不,今天正好我路过店门口,就想借答谢您的机会邀您去赏花。”
  通りがかったから、ってのを言わなければお礼としての格が上がると思うのだが……。それにしてもまた花見のお誘いか。
  我觉得她要是不说她是路过的话这份答谢的敬意本来还能更重一点儿……而且,又是赏花的邀请啊?
「お嬢様の庭の桜は、ここの桜の何倍も見応えがあるのですよ。と言っても今日は神社でお花見ですけど」
“我家大小姐庭院里的樱花可比这里的樱花要好看上好几倍哟。不过今天是在神社赏花。”
「うーん。生憎今日は別の用事があるんでねぇ」
“嗯—。不凑巧今天我有别的事情啊。”
「そうですか。まぁ桜は逃げないのですが桜の花は逃げますので、咲いているうちにいつか花見に来てくださいね」
“是这样啊。不过虽然樱花树跑不掉但是樱花可是会跑掉的啊,所以还请您趁它们还开着的时候哪天过来赏花吧。”
  妖夢を追い返し、彼女のお屋敷の桜の何分の一しか見応えのないという桜を見ながら本を読んで、そのまま夜も更けていった。
  应付走了妖梦之后,我边看着这片还不够她家庭院里那樱花的多少分之一好看的樱花边读着书,就这样又过了一个夜晚。
  次の日も一段と桜が見事になっていた。
  次日,樱花又开得别样地旺盛了。
  ちなみに昨日読んだ本とは、勿論桜が出てくる本である。これも回りくどい花見だ。何故桜の下で桜の本を読むのかというと、それは人生を楽しむためである。人生の楽しみ方を知らない者ほど短絡的で感情的なものだ。桜を見て「わぁ綺麗!」だとか「こんなもん綺麗なだけじゃないか」だとか「桜の楽しみ方とは云々」など知ったような口で語るのは、自らの愚かさを露呈しているだけだ。何故なら自分の思いついたことをそのまま口にして満足しているという、非常に短絡的で幼稚な行為だからである。それしか言えないようでは人間も、式神や道具とさほど変わらない。
  顺便说,我昨天读的那本书,当然也是有提到樱花的书,这也算是一种拐弯抹角的赏花了。要问我为什么要在樱花下读书,因为这是为了享受人生。越是那种不知道怎么享受人生的人,他们就越是短浅的和感情用事的。看了樱花就好像自己什么都知道似的说什么“哇漂亮!”或是“这东西不就光是漂亮吗?”又或是“所谓玩赏樱花的方法云云”的,那只是在张扬自己的愚蠢罢了。因为那只不过是在把自己一时间想到的东西脱口而出以求自我满足而已,这是非常短浅和幼稚的行为。只会说点儿那种话的人类,也就和式神呀道具之类的差不了多少了。
  余所の桜とも過去に見てきた桜とも比べることもなく、眼前の桜をただじっと感じていると次第に本当の花見が見えてくる。こうした回りくどさが、高尚さに必要なことなのだ。
  不去和别处的樱花还有自己过去见过的樱花做比较,只要静静地感受着眼前的这片樱花的话,那么你就会渐渐觉得自己真正是在赏花了。而这种拐弯抹角的做法,也正是高尚所必需的。
  今日は、まだ出しっぱなしだったストーブを片づけることにした。流石にこれを出したままでは春が実感できない。でもいささか心許なく感じるのは、朝や夜はそれなりに冷えるからだろうか。
  今天我把还布置在外面的暖炉收拾了一下,这个要是还摆在外面的话可就感受不到春天实际的气息了。不过让我感到些许不安的是,早上和夜里还是会相当冷的。
  ストーブといえば昨日来た妖夢を思い出す。実はあの娘が言っていた見事な桜というのが少し気になっている。そもそも桜と幽霊とはつながりが深く、幽霊が大量に居るというお嬢様の庭、そこに有るという桜と言ったら……それなりな因果を感じてしまう。
  一说起暖炉来我就想起了昨天来的妖梦,说实话我对那个女孩所说的美丽的樱花还是稍微有点儿兴趣的。原本樱花与幽灵之间的关系就很深,有大量幽灵聚集的那个大小姐的庭院,要说那里的樱花树的话……会让人强烈地感受到因果报应的。
  幻想郷にも妖怪と化した植物も少なくはない。特に桜は人の死を誘い、多くの魔力を持っている。また桜ではないが、魔法の森もそういった危険な植物でいっぱいなのだ。木は、人間より、時には妖怪よりも遥かに長く生きている。幻想郷の歴史を全て見てきているのは……幻想郷の木々たちだけなのだ。
  在幻想乡里,变为了妖怪的植物也有不少,特别是樱花,它能够引诱人的死亡,具有着很多的魔力。然后还有魔法森林,那里面也充满了这类危险的植物。树木要比人类、有时甚至是要比妖怪都活得更长久。见证了幻想乡全部历史的……其实也就只有幻想乡的树木们而已了。
  ーーカランカラン
  ——叮当叮当
「いらっしゃいますか?」
“您在吗?”
「いらっしゃいませ」
“欢迎光临。”
「そりゃ店を開けてるから貴方はいらしゃると思いますけど」
“我看,既然店开着门儿呢你就应该在吧。”
  やって来たのは、久しぶりの吸血鬼のお嬢様ーーレミリアとそのメイドーー咲夜の組み合わせだった。
  来店的是很久未见的吸血鬼大小姐——蕾米莉亚和她的女仆——咲夜这对组合。
「神社に誰も居なかったので、霊夢がこっちに来てないかなーと思って……」
“神社里一个人都没有,我就想是不是灵梦来了这儿呢—……”
  お嬢様の方はよく見ると桜色の服である。吸血鬼は人の血を吸い長く生きている。桜の木と根底にあるものは同じかも知れない。
  大小姐穿的衣服,仔细看的话就会发现是樱色的。吸血鬼是以吸人的血而得以长生的,这也许跟樱花树和埋在它根下的东西的关系是大同小异的吧。
「いや、ここのところ暫く霊夢は見かけてないよ?」
“没有呀,最近我可一直都没见到过灵梦啊?”
「今日は神社で勝手にお花見でもしようと思って来たのに、勝手に居ないんだから」桜色の吸血鬼が理不尽な文句を言った。
“今天我本来是想去神社随便地赏赏樱花的,结果她却随随便便地就不在。”樱色的吸血鬼发起不讲道理的牢骚来。
「そうだ、貴方もお花見に行きません? 神社へ」
“对了,不如您也去赏花吧?去神社。”
「霊夢は居なくても良いのかい?」
“灵梦不在,没问题么?”
「霊夢が居なくても桜は咲いているわ」
“灵梦不在樱花也开着呢啊。”
「それに神社は空けっぱらっているから、食べ物もお酒もありますよ」と笑顔のメイド。こんなメイドがいるんじゃあ、おちおち店も留守に出来ない。
“而且神社现在空无一人,食物和酒可什么都有哟。”女仆一脸笑容地说。有这种女仆在,看来我也不能放心大胆地离开我的店了。
「誘ってもらって嬉しいですが、まだ店が営業中ですので……。今日は遠慮させていただくよ」
“能受到你们的邀请我很高兴,不过我的店还在营业中啊……今天我就不去了吧。”
「霊夢を見かけたら神社に戻ってくるように伝えてくださいね」と言って二人は戻っていった。
“要是见到了灵梦就拜托您告诉她让她回神社哟。”两人说着就回去了。
  僕は、ストーブを片付けながら桜を見ていて、一日が終わってしまった。
  而我,一边收拾着暖炉一边看着樱花,一天就这样过去了。
  次の日も際限なく桜が見事になっていた。
  次日,樱花更是开得无限地旺盛了。
  昨日は結局、探していた霊夢は見つかったのだろうか。尤も、霊夢が留守でも桜の下でどんちゃん騒ぎをしている姿が容易に想像できる。夜には霊夢も戻ってきて、勝手に盛り上がっていたみんなに憤慨している姿も思い浮かんだ。
  昨天那后来,她们到底找到了灵梦没有啊。不过,就算是灵梦不在神社,我也能很容易地想象出她们在樱花下饮酒作乐的场面,还能想象出夜里灵梦回来了,看到她们任意玩闹的场面后朝她们发火的样子。
  桜色の吸血鬼と紅白の巫女。巫女の紅と白を混ぜれば桜色になるのかも知れない。だがその違いは大きい。紅と白が混ざらずに居ること、すなわちそこには境界が生じているのである。日本では古来から、紅白は「目出度い」とされ、逆に目出度くない時は黒白を使われてきた。注目すべきことに、相反する二つの風習には共に白色が入っている。とすると、単純に紅が縁起が良く、黒が縁起が悪い、という風に見えるが、実際にはそんなことはない。やはり白は必須なのだ。
  樱色的吸血鬼与红白的巫女,把巫女的红与白混合起来也许就能成为樱色了吧,不过这两种情况的不同其程度可是很大的。红与白是不会混合存在的,也就是说在它们中间有着境界。在日本自古以来,红白就被人们认为是“喜庆”的,相反不喜庆的时候就会用黑白来表示。而该注意到的是,这相反的两个习俗里都有白色。那么也就是说,虽然看上去好像是单纯的红色就吉利,黑色就不吉利,但实际上不是那样的,白色的存在还是必须的。
  ならば白とは何を指しているか、と考える。まず、白は色として認識されていないのだ。何故なら、如何なる色にも変化することができる唯一の色だからである。数字でいえばゼロに当たるだろう。一方、紅は人間の血の色であり、生命の象徴でもある。それは人間が最初に感じる生命の色であり、すなわち原初の色なのだ。これは存在そのものと考えても良い。
  那么一来,白色究竟指的是什么呢?我考虑了一下,首先,白色是不被认为是一种颜色的。为什么呢,因为它是唯一可以变化为任何一种颜色的色彩。按数字来说的话就等于是零吧。另外一方面,红色是人类血液的颜色,也是生命的象征。那是人类最初所感受到的生命的颜色,也就是原初之色了。这红色可以考虑成就是存在其本身。
  つまり、紅と白の間には存在と無の差がある。紅白の境界が「目出度い」のはそのためだ。交互に紅白の色を使いその境界を強調するのは、その境界線が物事の始まりを意味していて、だからこそ昔の人は縁起が良いと考えたのだ。
  总体来讲,红与白之间是存在与无的差距,而红与白的境界之所以“喜庆”就是因为这个。反复使用红白两色来强调它们的境界,就是用那条境界线来意指事物的开始,所以古人们才会觉得它们是吉利的。
  では、黒白はどうだろう。白が色として認識されていないのと同時に、黒も色として認識されていなかった。黒はただの闇であり、闇の中ではどんな色も黒になる。そこから生み出されるものは何もない。白がゼロならば黒は虚と言うことだ。ゼロと虚である以上、黒白の境界は何も実体、つまり生命を生み出さない。紅白と黒白の違いはまさに、この世とあの世の違いと類似し、紅白が生を象徴とするように、黒白が死を意味するようになったとしても何も不思議なことではない だろう。
  那么,黑白又如何呢?在白色不被认为是一种颜色的同时,黑色也没有被人们当作是一种颜色。黑色仅仅就是黑暗,在黑暗中什么样的颜色都会变黑,从其中产生不了任何的东西出来。要说白是零的话那么黑就是虚无了。既然是零与虚无,那么黑白的境界里就没有什么实体,也就是说产生不出生命。红白与黑白的不同,正是比喻了阳间与阴间的不同。就像红白象征着生一样,黑白意味着死这一逻辑也并没有任何的不可思议之处吧。
  では、桜の色はなぜ人間を惑わせ、多くの者を惹き付けるのだろうか?
  那么,樱花的颜色为什么就能诱惑着人类、使那么多的人都被魅惑住呢?
  ーーカラン
  ——叮当
「……桜が白くなっているわ」
“……樱花都变成白色的了啊。”
「いらっしゃ……」
“欢迎光……”
  扉が開いた音がしたのに、なぜか店の入り口には誰も居なかった。
  虽然传来开门的声音,可不知为何在店的入口处却没有一个人。
「明日のお花見は楽しみね」
“真期待明天的赏花会呢。”
「!! ……いつの間に店の中に」
“!! ……你什么时候到店里面来的?”
  店の奥から現れたのは八雲紫だった。僕はこの少女がちょっと苦手である。何を考えているのか判らない上に、どこか見透かされている気がしてならないからだ。近くに居られると、非常に居心地が悪い。
  从店的里屋出现的是八云紫,我可不太擅长和这个少女打交道,因为不仅不知道她在想些什么,我还总强烈地觉得她能看透我的一切。要是她在我附近的话,我就会非常地不安。
「それにしても、ここのところみんなは毎日お花見をしているみたいだけど、休憩は必要ないのかい?」
“话说回来,最近大家好像每天都在赏花啊,就不用休息一下么?”
「いいえ、明日が初めてですわ。お花見は」
“不,明天才是第一次。赏花会。”
「そう……君は神社に行ったりしていなかったのか」霊夢の周りの者達は揃って馬鹿騒ぎしているイメージがあったため、ちょっと意外な気がした。
“这样啊……你最近就没有去神社么?”因为灵梦身边的人都能让我想象到她们胡乱玩闹的一面,所以对她我感到比较意外。
「いいえ? 毎日神社に居ましたわ。でも、明日が初めてのお花見です。本当の桜が咲くのも、明日が初めてですわ」
“不啊?我每天都在神社里啊。不过,明天才是第一次的赏花会。真正的樱花第一次开放的日子,也是在明天。”
  言っていることがよくわからなかったが、今日は花見ではないらしい。僕はと言うと、花見に誘われたら今日は行っても良いかなと思っていたところだったので、少々肩すかしを食らった気分だった。仕様がない今日もお茶でも飲みながら一人花見をするとしよう。
  虽然我不清楚她在说什么,不过看来今天不是赏花的日子。我倒还想着说要还是邀我去赏花的话今天就去去也罢呢,真是稍微有点儿泄了气的感觉。没办法,今天还是一边喝茶一边一个人赏花吧。
「今日は桜の白さを確認しに来ただけですわ。それでは今日も神社に向かいます。神社の紅い桜の下に……。そうそう。関係ないですが、紅白の旗がお目出度いのは正八幡が源流だって、知ってました? 普通忘れますよね、そんな昔のこと」
“今天我只是来确认一下樱花有多白了而已哟,那么我今天也要上神社去了,到神社红色的樱花下面去……对了对了,虽然没什么关系,红白色的旗帜喜庆的缘由可是从正八幡神社来的,知道吗?一般人们都会忘掉吧,那么久远的事情。”
  そう言うと、紫は、返答も待たずに入り口から出て行ってしまった。僕は、彼女の会話の展開が予想できなくて、いつもまともに聞き取れない。会話というのは、相手が次に言うことを予想できるからどんな速い速度でも成り立つのだと思う。予想できない言葉は念仏のようなものだ。
  紫说完,都不等我回答就从入口处走了出去。我一直都预想不到她要说的话的方向,所以总是听不太懂。所谓会话,我想就是因为能预想到对方下面要说什么,所以不管说话的速度有多快都能成立。预想不到的语言那就和念经差不多了。
  僕はお茶を淹れながら桜を見た。言われてみれば余所の桜に比べるとうちの桜は白いようだ。桜の種類だけに起因するものではないだろう。なぜならそもそも去年まではこんなに白くはなかったからだ。ともかく明日は花見に参加しよう。誘ってくれたらの話だが……。
  我边沏茶边看着樱花。说来也是,和别处的樱花比起来我这里的樱花颜色的确很白,这不仅仅是因为种类的不同吧,毕竟一直到去年本来还没这么白过呢。姑且,明天就参加一次赏花会吧,当然要是有人来邀我的话……
  次の日、昨日までのが嘘みたいな満開だった。白い波は店を押しつぶすかのように膨れあがり、もはや店の窓の外には桜しか存在しないかのように見えた。
  次日,完全绽放的樱花比过了以往的任何一天。白色的波浪膨胀得就好像要把店挤倒一样,店子的窗外一眼看去就好像只剩下樱花了一样。
  そうか、元来桜はここまで咲くことができるのか。自然はいつも予想を超えてくる。所詮、予想なんて幻想の足元にも及ばないということなのだろう。
  是嘛,原来樱花本是可以绽放得如此旺盛的啊。自然一直都会超出预想,反正,预想是就连幻想的脚边儿都够不到的东西吧。
  というか、冷静に考えてみると、少し咲きすぎじゃないのか? 桜の花というのは、春風が吹かなくてもそんなに長持ちはしないものだ。儚いはずのものがここまで出しゃばってくると、逆に不安を感じてしまう。この桜は本当に散るのだろうか……。
  不过,冷静地想想看,这是不是开得有些过分了?樱花,就算春风不吹起来都是不会保持得太长久的。那么虚无缥缈的花竟然会无端地强调自己到如此的地步,我倒觉得有一丝不安。这樱花,到时真的会凋谢吗……
  ーーカランカラッ
  ——叮当哐
「居るのかしら?」
“你在么?”
「いらっしゃ……ああ、霊夢か」
“欢迎光……啊啊,是灵梦啊?”
  神社で連日花見をやっている筈の霊夢が来た。霊夢は準備と片付けで四六時中忙しそうだから、魔理沙辺りがうちに来るかと思っていたが。
  本应在神社连天赏花的灵梦来了。我还以为灵梦会为准备和收拾忙得一天二十四小时不得闲,要来人的话也就是魔理沙会来呢。
「最近、お花見ばっかりでねぇ。ほぼ毎日誰かが家に来るのよ」
“最近光是在赏花了啊。几乎每天都得有个谁谁的来我家里。”
「それだけ、神社の桜が見事って事なんだろう?」
“这也说明神社的樱花也开得一样好看对吧?”
「そうねぇ……」珍しく、何か歯切れの悪いものを感じた。流石の霊夢も連日花見で、疲れているのかも知れない。
“是啊……”我少见地感到似乎灵梦有点儿懒得说话。连日的赏花,就连灵梦也许都觉得累了。
「今日は店の裏を借りるわよ」
“今天我要借你店子后面那块地方用一下哟。”
「店の裏? 借りるっていったい?」
“店的后面?你要借去干吗?”
「それはもう、お花見に決まってんじゃないの。今日は店の裏でお花見をやるわ」
“那不很明白吗,赏花呗。今天我要在你店子的后面开赏花会。”
  ああやっぱり、連日花見でも疲れる訳がないか。
  啊啊果然,就算是连日地赏花,她也不会就因为这而觉得累啊。
「みんな言ってたの。香霖堂の裏の桜がもうすぐ咲きそうだって。だから見に来たんだけど、もうちょうど良い状態になっているじゃないの」
“大家都说了,香霖堂后面的樱花就快开放了,所以我就来看了,现在不是正开得恰到好处吗?”
  昨日までの桜では彼女らにとっては「まだ咲いていない」状態だったのか。僕だけが満開だと思って一人花見をしていたという訳か。もしかしたら、最近とみに来客が多かったのも、店の裏の桜の状態を確認するためだったのかも知れない。
  昨天以前的樱花在她们来看就是“还没开放”的状态啊,那么也就是只有我一个人认为它完全绽放了,而且还在独自赏花吗?也许,最近的来客比较多,也是因为她们要确认我店子后面那片樱花的状况才来的吧。
「あまり騒がしいのは好きじゃないんだがな……もう他のみんなも呼んでいるのかい?」
“不过我可不喜欢太吵闹啊……你已经叫大家过来了么?”
「いえ、桜の様子を見に来ただけで、誰も呼んでいないわ。でも、暫くすればみんな自然とここに集まってくると思う」
“没,我只是来看樱花的样子而已,还谁都没叫呢。不过,我想只要过一会儿大家就会自然地集中到这里了。”
「なぜだい?」
“为啥呢?”
「そういうもんだもん」
“就是这么回事咯。”
  それが霊夢の自然なのか。霊夢にとっては、自分のいる場所に人が寄ってくることが当たり前であり、当たり前だからこそ強い関心を持たないように見えるだろう。
  那算是灵梦的一种自然吧,对于灵梦来讲,自己所在的地方就会有人聚集过来,这已是理所当然的了,而正因为是理所当然的了所以她看上去也就不那么在乎了吧。
「霊夢が言うんだからもうすぐこの店は騒がしくなってしまうんだろうな。今日は店をたたむとするか、恐らく商売になるまい」
“既然灵梦这么说,那这店里马上就会变得吵闹起来了吧。今天我就关门吧,恐怕是卖不成东西了。”
「あら、いつも開店休業じゃないの」
“哦?你不一直是开店休业状态么?”
「お客じゃない人間はよく来るんだけどね」
“不是客人的人倒是经常过来啊。”
「この店には欲しいものが置いてないだけよ」
“那不过是这店里没有我想要的东西而已啦。”
  店の裏の白い桜。白は無色であると同時にあらゆる色の基底になる。虹の七色も根底にある色は白だ。その白い桜に、原初の色である紅を加えて紅白になると、後は様々な色を呼び込むだろう。花が自ら白くなっていったのも、満開と同時に紅色の霊夢が来るのも偶然ではない。すべてはこの妖怪じみた桜の仕業だったのだ。そして霊夢が来ることによって人が集まり始めるだろう。誰も気が付かないうちに桜の魔力で操られているのである。
  店子后面白色的樱花。白色作为无色的同时也是一切颜色的基底。彩虹的七色也是基于其根底的白色的。在那樱花的白色上,加入原初之色的红色的话就会变为红白,那么之后就会呼唤来各种各样的颜色吧。不管是樱花自己开成了白色,还是在它完全绽放时会有红色的灵梦来,这些都不是偶然,一切都是这有着妖怪气息的樱花树在作祟。灵梦来了,然后人们便也会因此开始集中过来吧。谁都在不经意间被樱花的魔力所操纵了。
  桜の花は、人を惑わして自らの下に集めることだけを考えて咲いている。何十年も何百年もの間、集めることだけを考えていたら、例え植物とはいえ不思議な力を持つようになるだろう。店の裏の桜は、自らを白くすることによって人目を惹き、霊夢の紅を呼ぶことで、紅白どころか虹の七色を手に入れようと考えたのだ。
  樱花只想着要诱惑人们集中到自己的树下面来才开放,如果几十年几百年间都只想着这一点的话,就算是植物它也会逐渐具有一种不可思议的力量吧。我店子后面的樱花,把自己开放为白色来招惹人们的注意,然后呼唤来灵梦的红色,继而不仅仅得到了红白,它还想着要把彩虹的七色都得到呢。
  この桜の策略に気が付いているのは恐らく僕だけである。こうやって人間を操るうちに段々と妖怪と化していくのだろう。人間に害をなすような魔力を持ってしまったら、人の手に負えない代物になる。店の裏の桜も、いつの間にかそんな智慧を持つようになっていたということだ。
  恐怕注意到了樱花的这个策略的只有我一个人。樱花也是在这样操纵着人类的过程中渐渐地变成妖怪的吧,要是它有了会对人类造成危害的魔力了的话,它就会成为一个人类对付不了的东西了。也就是说,我店子后面的那棵樱树,也不知在什么时候拥有了那样的智慧了。
  ……だがまぁ、それも良いだろう。桜を見て騒ぎたくなるのも、死にたくなるのも、集まりたくなるのも、至極自然なことなのだ。何しろ桜は、紅と白を併せ持つので色の誕生を意味し、色の誕生は生の誕生である。まさに季節の始まりなんだから、本当は桜が咲いたときを正月にするべきなのだ。流石にそれは無理かも知れないが、せめて僕だけでも正月気分で居るとしよう。桜の魔力に操られるのも悪くない。
  ……不过嘛,那也不坏吧。见了樱花就会大吵大闹、就会想要死掉、就会想聚集起来,这些都是极其自然的。毕竟樱花兼有着红与白,以此意味着颜色的诞生,而颜色的诞生又意味着生命的诞生,这正象征了季节的开始,所以其实,樱花开放的时候才应该算是正月啊。虽然那么干肯定是不行啦,不过至少在我心里,我就当是在过正月好了。被樱花的魔力所操纵也不坏。
「どうしたの? 何かお目出度い顔をしてるわよ」
“怎么了?怎么好像一脸傻气的样子哟。”
「そりゃ正月だから『目出度い』さ」
“因为是正月所以要‘喜庆’嘛。”
「随分と遅い正月ね」
“好晚的正月啊。”
「ちなみに紅白が目出度い理由を知っているかい?」
“顺便问你一句,红白喜庆的理由你知道么?”
「そんなの……巫女だからに決まってんじゃないの」
“就这啊……不就是因为巫女吗?”
  窓の外に、桜の白の中に黒いのが混じって、こちらに近づいて来るのが見えた。
  窗户外面,我看到樱花的白色中混入了黑色的东西,正一点点地接近到这边来。
  けれども僕には、何故かこの黒は縁起の悪い物には見えなかった。
  然而不知为何,我却并没有觉得这黑色是不吉利的东西。
つづく
待续

注释

  1. 也叫“座禅草”,一种天南星科植物
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